みんなに贈りたい祖母の遺言
2006.08.31
私の祖母は、小学校の教師だった。女手一つで私の母きょうだいを育てた。
そして、彼女は私や、私の母と同じくアスペルガーだった。
私は、彼女の事を心から尊敬しているので1つとして悪くは言いたく
ない。だから、彼女のアスペ症状は省かせていただきたい。
もちろん、彼女は診断されたわけではない。
しかし
私達3人とそして私の娘のモモは、紛れも無く同じ世界の住人である。
祖母が亡くなったのは、私が中学2年のクリスマスイブだった。
癌に侵されながら最後まで、病院に入院するのを拒み続けた祖母は
手術が終わるたび、すぐに退院して家で療養していた。
11月に、私達きょうだいに祖母から手紙が届いた。
祖母は、隣県に住んでいたのだが私の家から40分で行けるので
当時私の母は、看病に足繁く通っていた。
祖母の手紙には、そのことで私達が留守番になり淋しい思いを
させている事を詫びる言葉と、
これから、私達がしっかりと自分の足で人生を歩んでいくよう
激励の言葉が並んでいた。
祖母は、達筆な人だと記憶しているが
その手紙の文字は、震え、判読するのにとても時間がかかった。
祖母が、ペンを握る力さえ失っていたにもかかわらず
最後の力を振り絞って書いた魂の手紙だった。
最後に、私だけに宛てた文面があった。
私は、彼女に叱られてばかりだった(門柱でウンチしたりね)
でも、私の天真爛漫な性格と優しさは、私の武器であり一番の宝物。
あなたは、私の孫の中で一番素敵な大人に成長するでしょう。
と記してあった。
人生でつまづく事
たくさんあるでしょう。
色んな選択肢に悩むこともあるでしょう
自分が選んだ道を後悔することもあるでしょう
でも、人生に「もしも」は、ありません。
それは、私達人間はたいていの場合
最善の選択を知らず知らずのうちにしてきている
からです。
自分の歩む人生は間違っていません。
すみれの選択は間違っていません
どうか、自分を信じて生きていって下さい
最後にそう記し、字が震えてしまいごめんなさい...とあった。
祖母はこの手紙をどうしても自分の手で投函したかったようで
同居しているお嫁さん(私の伯母)の目を盗んで
健康な人でも、片道10分はかかるポストまで
歩いて行き、帰り道にとうとう倒れてしまったという。
それから数週間後に祖母は他界した。
彼女は定年まで教職を続けてはいなかった。
教職を離れて30年近くは経っていたと思うのだが
信じられないほどのたくさんの教え子達
どこまでもどこまでも続く花輪...
彼女がどれだけ人に慕われ、尊敬されていたか
私はそこで初めて知った。
彼女の遺言は、8人の孫のうち私だけに宛てられていたそうだ。
アスペルガーとは知らずに、ただただ生きにくい世の中と闘い
八方ふさがりだった当時の私の心を見透かしていたのだろうか。
それとも、自分に重ねて私を見ていたのだろうか。
ともかく、私は今まで何度この言葉に励まされ
自分を取り戻したかわからない。
この手紙は、一度読んだきりで目を通していない。
大切に保管してあるが、もう一度読み直すのは無理だ...
だから、祖母の言葉そのままではなかったかもしれない。
多分もっと、素敵な表現で書かれていたはずだ。
私のブログに来てくださった、私の大切な人たちに
私のことばで、この言葉を贈ります。
私からのささやかなお礼です。



