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熱い男に教えられたこと

シリーズ6回目。今回が最終話でございます。

私は、幼い時から厳しく育てられました。
私の行動や、言動が普通の子と違っていたために
私の両親は早いうちに、ちゃんとした教育が必要だと
思ったのでしょう。

私の両親については大変個性的で、特筆に価する人物なので
また別の機会に記事にしたいと思う。

私は両親に考えられない程、縛りつけられていましたし
褒められることなどなかったと思います。

愛情はあったと思いますし、私は今大変二人を尊敬しております。
でも、私はいつも追い詰められて、怯えて、自分に自信など全く
持てなくなっていました。

私が自分に少しずつ自信が持てた時に
やっと人間としての自分の存在を感じました。

それまでの私は
人間に感情があるなどと考えた事もなければ
人間はロボットのようなものだと思っていました。
神様か誰かに動かされているロボットで
痛みも感じないと思っていました。

転んだら痛いのは、私が特別なのだと思っていたのです。
自分の世界しかないと信じて疑わなかった。
自分に自信があるからとかまったく関係なく。

父が帰宅すると
このヒトは父の皮を被ったロボットだ!!
と、いつもビクビク観察していました。

母や、兄弟を守るために私が勇気を出して
正体を暴かなければいけない...
心からそう思った私は隙をみて父に飛び掛り
顎のラインを爪で何度も引っかいた。
仮面が外れると信じていた。

仮面など外れるわけもなく
家族にはアニメか何かの影響を受けていると、笑われた。
そしてふたこと目には「馬鹿なんだから...」
でもそれは、私が小学校高学年まで真剣に思っていたことだった。


熱い男はこんなに、おかしなおかしな私の脳に
マイナスの言葉しか入っていなかった私の脳に

たくさんのプラスの言葉をギュウギュウに詰め込んでくれた。

はじめの頃、私はこの男をおもしろい動物のように見ていた。
当時の私はこのヒトに興味があったが、好きではなかったように思う。

やたらとヒトの目を見て話すことを要求するし
過剰なスキンシップに嫌悪感すら覚えていた。

でも、この男はおかまいなしだった。
外人のように、自分の思ったことをすぐにオーバーに表現した。

一番最初に褒められた言葉を未だに憶えている。


おお~!すみれはピアノがうまいな~!
これから先生のかわりに弾いてくれよ~!
ベリーグッドだよ~!



私は、ピアノが上手なわけではなかった。
ただ、ピアノを習っていたのが私1人だけだったのだ。

このわざとらしい位の賞賛は、恥ずかしいだけで
私の心を動かすことはなかった。
褒められる事になれていない私は
馬鹿にされているようで泣きそうだった。
みんなの注目を浴びるのも最悪でしかなかった。

ただ、私のかたくなな心を少しづつ溶かしてくれたのは
この男の生徒への愛でしかなかった。
口先だけではない、真実の信頼関係ができたからである。

この先生は、生徒と一緒に本気で遊び
本気で喧嘩して、一緒に泣いた。

母の日の作文の時間のこと...

ある男の子が、すすり泣いていた。
母親が蒸発したと、近所でも噂になっていた。

事情を知らずに、作文を書かせた熱い男は
その男の子の隣にしゃがみ「ごめん」と言った。
そして、男の子の手を握り一緒に声を上げて泣いた。

作文は、一応書いたが
その作文を貼り出すこともなければ発表することもなかった。
そして、次の年から
母の日や父の日の作文は書く事がなくなった。

小学校4年生の終わり
3月の終業式に下を向き教室に入ってきた熱い男....

「はじめての生徒がお前たちで良かった」
そういって声を上げて泣き始めた。

私は事態を飲み込むのに時間がかかったが
まわりの友達もみんな泣いていた。
一人一人を褒めて抱きしめ5年生になっても頑張れ!
と励ました。

そして、ありったけの声をふりしぼって



フレーフレー30人!



とエールを送ってくれた。

全員が泣きじゃくり
この男との別れに張り裂けそうな
気持ちをそれぞれに表現していた。




しかし、4月になりこの男が教室に入って来たときは

全員開いた口が塞がらなかった(笑)

さすがに、熱い男も恥ずかしそうだったが
この今生の別れを5年の終わりにも繰り返し
4月になり6年になった私達のクラスにこの男が入って
来たときは失笑の嵐だった。

6年生も終わりに近づいていたある日の事。
私は熱い男にお説教された。

放課後、1人教室で正座をさせられ延々と長い話が続いた。
私は聞いているが
先生のエラがピクピク動く回数を必死に数えていた。

どうやら、私の集中力の無さとコミュニケーションについての
お説教のようだった。

私には協調性に欠ける所があり
人を知らず知らずに傷つけてしまうキツイ所があった。
思ったことをそのまま口にしてしまう。

熱い男が担任になって
私は自分が人間である事を知り
自分以外にもたくさんの血が通った人間がいて
自分の知らない世界がある事を知った。

大きな世界の中にいる一員なのだと知った。

人の悪い部分を見るより
いい所をたくさん見つけた方がいいこと知った。
そして、素直に相手にそれを伝える大切さを身を持って知った。



4年生の頃に比べ
想像もできない位の成長を遂げた私だったが
どうしても感情のコントロールが出来なかったり
周りの空気が読めない。

その時に熱い男が言ったのは...

[すみれは、もともと誰よりも優しい。そして頭の良い子だと思う。
そして、自分の好きな事には誰よりも集中できるだろう?
お前は人を観察してそのモノマネをしたりするのが得意だ!
今の自分が好きか?違う自分に生まれ変わってみようと思わないか?」

断片的な記憶なので、おかしな文になっているがこのような事を
言われた。
私はこの言葉を大人になるにつれ自分なりに解釈してしまった。
私は、女優になればいいのだと...(笑)

今の自分になるまでに、様々な人格を演じてきたように思う。
怒るシーンが台本に無いのだと思えば、怒る必要もなかった。
苦手な場面もこれでクリアしてきた。
あの時に先生が言った一言が
その後の私の人生を楽に運んでくれたのは間違いない。

でも、自分を見失い、自分が存在していないように
感じることもたくさんあった。

多分彼は、私に女優になれとか
多重人格になれとか言いたかった訳ではないと思う。
でも、この一言がなければ私は
感情をコントロールする方法が
わからないままだったのではないかと思う。
この熱い男に関しては、賛否両論あるとは思うが、私にとっては
かけがいのない、恩師なのである。


追記:私達は未だにこの先生を慕っている。同窓会ではタイムカプセルを掘り起こし、またしても号泣&フレーフレーお前ら!をみせてくれた

男子達は家によく飲みにいくらしい。
今では、ダンボールの家具はなく立派な家で
可愛い奥様と2人のお子様と幸せに暮らしている。
一日中体育や余計な遊びをしていた私達だったが、歴代卒業生の中で
進学校へ進んだ割合が多いらしく、地元では伝説の学年と語り継がれているそうだ。

熱い男は25年前と何も変わっていない。
彼の能力と、出身大学からしても出世は間違いなかったはずなのに
未だに、僻地ばかりを渡り歩き、出世とは無縁とのこと。
でも、その型破りな教育法は少しばかり知れ渡り
新聞で見かける事もある。

今では、体罰も過剰なスキンシップも出来ない時代だが
こんな時代だからこそ我が子に彼のような、教師に出会って欲しいと
思う。心から自分を愛してくれる先生に。

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感動!

パチパチパチパチ~!最高!
なんて素晴らしいラストなの~(ToT)
ぐいぐいと最終話まで引っ張られてしまった私は
いつしか「熱い男」の生徒になってしまってたわ~!
すみれさんホント文章うますぎるわ!
でもいいねぇ…こんな先生(^^)vうらやましいぞ~ぅ!

おかんさんへ

ありがとう。おかんさん。
このシリーズに力を注ぎすぎて、抜け殻状態です。古いことなので、記事を書きながらどんどん思い出していった感じです。
この先生は私の結婚式に、テープに吹き込んだメッセージを送ってくれたんだけど、フレーフレー!ってまたやってました(笑)
こんな、長い個人的な記事を興味をもって見てくださったこと嬉しかったです。

読んだよ(ToT)

最後まで読んだよ!!ああ、読ませてもらったさ!!
そして感涙(ToT)
スミレさんが
期待し恐れているであろう私からのコメントは…
『very very good!!』です!!
喉元まで出かかっている言葉がたくさん(察してくれ)あるけど(笑)
確かに 体罰は良くないけど そこにかかる愛情の問題だろうと思う。
叩かれた痛みが
いつか暖かいモノに変わるなら 上っ面の褒め言葉の何倍も 必要な教えであると思う。
スミレさんをはじめ
同級生の方々には
恩師と呼べる先生は
彼一人ではないだろうか!?

あなたのコメントで

私が感涙です。ベリーグッドでしたか。
あの先生の口癖がそういえばベリーグッドだったと、私は記事を書きながら思い出しました。出来事も会話も、書いていくうちにどんどん鮮やかに蘇っていくのね。
どれだけ強烈な記憶として残っているか、思い知りました。
私の記憶は正確だった?(笑)
間違っていた所あったら修正してね。
正直、YちゃんとRちゃんが正座させられてた場所はあやふや...(爆)どっちがプール側だったかな??(笑)
私も喉元まででかかってる言葉があるけど
また、今度。
同級生達の恩師は彼1人だけだと、私も思います。時には鬼で、人でなしだったけど
恨んでいる人はいないよな~
本当に誰もが愛されてたもんね。
そろそろ出世を考えて欲しい今日この頃...(笑)
だって、先生にいつもプロレス技をかけられていたあの後輩先生が今や、教頭って知ってた~?

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